shin422のブログ

『哲学のヤンキー的段階』のための備忘録

ゴーストタウン

 いよいよニューヨークまでもが、先に外出禁止令を出していた隣のニュージャージー州と同様、COVID-19対策の一環として、今日から不要不急の外出を禁止する法令が施行され、おそらく一種のゴーストタウンのような状況となることが予想されている。もともとレストランやバーなどの営業は停まっていたことから、街の様相は異様なものとなっていたが、一部の例外を除く人々の外出が禁じられ、街頭に軍の工兵隊までが出動し、ちょっとした戒厳令下のような事態となると、流石の能天気なニューヨーカーも事がそこまで逼迫していることがわかってきたようだ。空きホテルは緊急用医療施設に様変わりし、スーパーからは品物が消えている。特に紙製品の品切れ状況は、おそらく日本以上にひどい有り様なのではないか。

 

 もっとも、米国では非常時の対策のための組織が日本以上に整えられているので、いざ緊急事態との認識に至れば、即応性を発揮する。この点で、逆に日本政府や国民の対応は、あくまで米国から見ている限りで、相当能天気という他なく、予想される最悪の事態を考えないで済ませたいという精神が見え隠れする。過剰反応はよろしくないと一見もっともらしい「正論」を吐くのも結構だが、果たして当人がパンデミックの恐ろしさや世界経済への壊滅的打撃に至る危険性をどこまで感じとっているのか怪しい「釜中の魚」であるとも限らない。

 

 この新型ウイルスに対応するワクチン開発は進んでおらず、また、ともすれば変異してより悪性の強いウイルスに変ずるかもわからない中で、欧州の為政者たちがこぞって「第二次世界対戦以後に起きた人類の危機」に至る危険性に警鐘を鳴らし、そうならないために相当強権的な防疫体制の強化に乗り出していることをあたかも「対岸の火事」であるかの如く傍観するように見えてしまう日本では今もなお、今夏、オリンピックとパラリンピックを開催できると信じている人もいるようだが、少なくとも世界的なレベルで感染拡大の防止策が成功したと確信されるまで、今夏の東京でのオリンピックとパラリンピックの開催に対する国際的な世論の支持は得られることはないだろうし、そもそも各国で代表選手の選考すらままならない状況においてまともな国際的なスポーツ祭典となるわけがないので、現時点では少なくとも今夏の開催は困難だと思わずにはいられない。

 

 こういう事態に至って、元から政治的信条に従って五輪そのものに反対する者が中止を呼び掛けているが、そういう特異な政治的主張をする者の意見に耳を傾ける必要はないが、普段から必ずしもそうした偏向した極論をしてきたわけでもない大半の人々の意見に対しては、IOCは様々な利害関係者の存在にも関わらず、虚心に耳を澄ます必要がある。五輪開催に向けての関係者の多大な努力や資金の注入、そして中止になることの直接間接の莫大な経済的損失を考えて、既定路線を進むかのように装っているのものの、実際のところIOCも薄々無理だとわかっており、中止ないしは延期を決定するタイミングを探しているのではあるまいか。