shin422のブログ

『哲学のヤンキー的段階』のための備忘録

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

日本は、ふさわしく遇してきたか-渡辺恭彦『廣松渉の思想-内在のダイナミズム』(みすず書房)を読んで

この題は、平成6(1994)年の秋に、大江健三郎のノーベル文学賞受賞が発表された直後に、蓮實重彦が「朝日新聞」夕刊の文芸時評に寄稿した文章の題をもじったものだ。蓮實重彦は、大江健三郎の作品の質からすれば、このような栄誉がいつ訪れても不思議ではな…

哲学における一部の流行現象について

今から8年ほど前になろうか、NHKで放映されていた「ハーバード白熱教室」がきっかけとなって、日本ではちょっとしたマイケル・サンデルのブームが起きたことを覚えている人も多いだろう。ハーヴァード大学での「正義」と題するサンデルによる聴衆との対話…

名著復刊

蓮實重彦『帝国の陰謀』がちくま学芸文庫から復刊されていることに今頃気がついたのであるが、この書は日本文芸社から出版されたのが元で、僕の手元にあるのも確か神保町の古書店で売られていた初版本である。本書に関係する『凡庸な芸術家の肖像-マクシム…

国際政治学の貧困と「御用学者」

今から3年ほど前、国会で可決した平和安全法制整備法をめぐる国会前での反対派デモがマスメディアで大きく取り上げられていたことは、まだ記憶に新しいはず。中でも、この法制を危惧するSEALDsを中心とする大学生等の若者の行動が目立った。おそらく、「3…

春季例大祭をむかえて

今年はキリスト教の東方教会を除く教派のイースターは21日なので、ところによると数日前からイースター休暇に入った国もあるが、我が国では21日から3日間、靖國神社の春季例大祭が挙行されている。安倍晋三内閣総理大臣は今年も昇殿参拝を控え真榊を奉納する…

柄谷行人について

哲学者ジョン・ロックは次のような文章を残している。 奇妙で馬鹿げた学説を流行させたり主張したりするには、曖昧でわかりにくく、意味のはっきりしない言葉をふんだんに用いて周りを固めるに若くはない。しかしながら、そうして出来上がる巣窟は、正々堂々…

刑事訴訟法321条1項2号の改訂を

渡部昇一『萬犬虚に吠える』(小学館文庫)に収録されているロッキード裁判批判と立花隆『ロッキード裁判批判を斬る』全三巻(朝日文庫)を通じて互いに罵り合っていた渡部・立花論争は雑誌『朝日ジャーナル』での紙上論戦が元になっているが、論争という論…

ヤンキー研究

打越正行『ヤンキーと地元』(筑摩書房)と知念渉『<ヤンチャな子ら>のエスノグラフィー』(青弓社)と立て続けに社会学的な「ヤンキー研究」本が出版された。社会学の中のエスノメソドロジーに分類される研究に関する書籍だが、この方面の先駆的研究書は…

学問研究の誠実性

毎年同様、4月12日に東京大学の入学式が行われたが、そこでの上野千鶴子東京大学名誉教授の祝辞が一部で話題になっているようだ。その内容に賛同する者もいれば反発を覚える者もいて、入学式での話題をさらったという意味では上野千鶴子の狙いは半分以上果た…

毛沢東のマキャベリズム:遠藤誉『毛沢東-日本軍と共謀した男』(新潮新書)を読む

毛沢東は、大日本帝国による大陸進出によって追い込まれた自国の窮状を打開せんがために「抗日救国」を掲げて日本軍との戦闘を勇敢に戦い抜き、大日本帝国敗戦後において蒋介石率いる国民党との革命戦争に勝利して中華人民共和国を建国した英雄的革命家であ…

芦部信喜と憲法第九条

芦部信喜著・高橋和之補訂『憲法(第七版)』(岩波書店)が書店に並び、早速Amazonでも法律書憲法部門でベストセラー1位になっているようである(4月12日現在)。憲法解釈学の基本書の中の名著として多くの読者に迎え入れられてきた歴史からも、今回も相当な売…

キム・ジョンウン国家主席?

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の最高人民会議が開催された。いつもと違う点は、以前は「雛壇」に数人の最高幹部が座っていたのに今回はキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長のみが鎮座しているという点である。しかも、最高人民会議代議員から国務委員長が…

ブラックホールとメディア

アインシュタインの一般相対性理論によってその存在が予言されていたブラックホールの姿が高解像度の電波望遠鏡によって得られたデータを分析することによって明らかになったことが発表された。桜田義孝五輪担当大臣の辞任の報道の方が大きく扱われているが…

満洲

昭和6(1931)年9月18日午後10時半頃、奉天(現在の瀋陽)郊外の柳条溝において、南満洲鉄道の線路が爆破された。関東軍は、これを張学良軍閥の仕業と断定して直ちにその本拠である北大営を攻撃し、翌日19日午前6時頃までに張学良軍を敗走させ占拠することに…

天才ナッシュ

数年前に交通事故で亡くなった数学者ジョン・ナッシュがプリンストン大学大学院に進む際、学部の指導教授が書いた推薦状には、「この男は天才です」とだけ記されていたというエピソードは、今ではかなり知られているが、一体どういう意味で「天才」であった…

主観的確率の効用と証明責任

僕自身が現在国際金融の世界に身を置いているので、この場で触れることが果たして適切なのか疑わしいのだが、最近の日本経済を世界経済全体の動向と重ねてみると、いわゆる「アベノミクス」と言われる一連の経済政策の有効性は、一部のまともな経済学者(メ…

三島由紀夫と北一輝

昭和45年11月25日、東京市ヶ谷の陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地内の東部方面総監部の二階にある総監室にて、三島由紀夫が「楯の会」学生長であった森田必勝とともに自決した。11月25日の四十九日後の1月14日は三島由紀夫の誕生日である。高度経済成長を謳歌する「昭…

安倍晋三革命政権の打倒

新年度が始まる4月1日に、いよいよ予定されていた新元号が公表される。我々民族派は、この不敬極まる国賊安倍晋三政権に対して総理官邸前をはじめとした都内中心部での抗議街宣活動や国民に対してもこのような君側の奸による暴挙を許してはならないことを周…