shin422のブログ

『哲学のヤンキー的段階』のための備忘録

経営学についての雑感

第二次ベビーブーム世代が18歳になる頃を見計らうかのように、1990年代前半になされた大学設置基準の大綱化の影響で雨後の筍のように大学が乱立することになり、とにもかくにも大学進学することが望ましいという故のない妄想が日本社会を覆って行った。工業…

香港よ、さようなら

先月30日に、中華人民共和国の全国人民代表大会(全人代)常務委員会で「香港国家安全維持法」が可決され、当日に施行されることとなった。これを以って、当局は早速「被疑者」を拘束し始めている。中共が共産主義者としての本性を露骨に現したのである。こ…

都知事選の顛末

今月5日に投票・開票された東京都知事選挙は、前評判通り、現職の小池百合子が有権者の圧倒的な支持を受けて再選を果たした。投票率は約55%と低調な数字だったにも関わらず、得票数は、次点の宇都宮健児の約84万票の4倍以上の約366万票という歴代2位の票…

The business of business is business.

ビジネス倫理学という分野は、所謂「応用倫理学」の一つとして、道徳哲学の研究者および政治哲学者が1970年代から1980年代にかけて行った研究から生まれたと言われている。倫理学者や政治哲学者に対して、ビジネスが道徳的エージェンシーの問題や真理論ある…

批評と経済小説

「経済評論家」と名乗る割には経済学的知に疎い一方で、日本企業のスキャンダラスな側面を論じる舌鋒においては異様に鋭い嗅覚で以って的確な批判を展開する資質に恵まれるという極端なギャップを見せる佐高信は、経済小説ないしは企業小説と呼ばれるジャン…

ニーチェの「リベラル化」

小説としての出来はイマイチなのだが、ジョー・ランスデール『テキサス・ナイトランナーズ』(文春文庫)は、思春期の若者なら多かれ少なかれ心奥に持っているだろう漆黒の闇に渦巻く「狂気」に導かれて、悪徳の限りを尽くす不良少年の友人の魅力に憑りつか…

TOKYO解体!

日本でも方言の訛りというかある種の「癖」があるように、米国にも当然そうした「癖」が存在する。そうは言っても、インドやシナのように全く通じない程の乖離を持つわけではない。もっとも、米国にはヒスパニック系移民の数が尋常ではないので、英語に不自…

ミネアポリス事件?

先週、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性が警官による拘束下で死亡した事件(全米の報道はかなり偏向していて、事件の真相を調査することなく、あたかも人種差別による「殺人」であると宣伝されているが、実際はそう断定するに足る根拠が今のところ希薄では…

オススメ4冊

第87回東京優駿(日本ダービー)は、前評判通り、福永祐一騎乗のコントレイルの圧勝に終わった。今年はCOVID-19の影響で無観客レースだったようだが、ネット上にアップされているレース映像を視ると、コントレイルは4コーナーから直線に入って間もなく集団か…

Urgent Announcement : Down with the Chinese Communist Party!

China’s National People’s Congress gave its approval to a controversial draft security law that will apply in Hong Kong. The New security law is intended to prevent any threat to Beijing’s authority in the city through secession, subversio…

感情教育

米国には、HIGH TIMESという日本では考え難い大麻推奨雑誌が存在し、特に、規制が比較的緩やかなカリフォルニア州などでは普通に売られている。かつて西海岸で跋扈したヒッピー文化を継承しているため、その背景となる政治信条は左翼的とも言え(この点は、…

法律の勉強の仕方とは

世の中、勉強法の類に関する書物が氾濫しているけれど、「このやり方でいけば万事うまくいく」などという方法はもちろん存在しない。もし、そのように謳っているHow toモノの本ががあるとするならば、ほぼ100%クワセと思って間違いないだろう。すぐに役に立…

アイデンティティ・ポリティクスの脅威

必ずしもその主張に同意するわけではないのだが、日系米国人フランシス・フクヤマの新著Identity: The Demand for Dignity and the Politics of Resentmentが、現在の米国政治の背景をみる上で参考になる主張を展開している。 フクヤマは、ハーバード大学で…

豊饒の海・虚無の海

たいていの物事は、それに長く付き合っているうちに慣れていくものであるが、世の中どうにも慣れようもないものが結構ある。米国在留邦人の悩みの種の一つである米国の食文化が、その好例かもしれない。米国といっても、ニューヨークはまだましな方で、一応…

バイと献血

どこまで裏づけとなる医学的証拠が積み上げられているのかわからないが、COVID-19の重症患者に対する回復した元患者の血漿輸血による治療法が一部の国々で注目されている中、米国では献血者の確保が叫ばれている。抗体ができた者から採取した血漿を投与する…

切断詞的「と」の意味とは?―千葉雅也『動きすぎてはいけない―ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社)の今日的意義

蓮實重彦は、批評家としての処女作にあたる『批評あるいは仮死の祭典』(せりか書房)所収のドゥルーズに関する論考において、「と」論とでも言えるような見解を展開している。ドゥルーズは「足す人」であり「接続詞の人」であると述べ、二者択一や演繹と帰…

ソフトなファシズムの到来?

改正特措法に基づき安倍首相の判断で先月に発出された緊急事態宣言は期間満了を迎える6日より先も解除されることなく、一月ほど延長される見込みだという。外出や休業の自粛要請(パチンコ店のみを狙い撃ちしたかのような「自粛」とは名ばかりの「強制」もあ…

Physics, Mathematics and Finance

The problems with derivatives stem from the fact that we price them using models that are based on assumptions and simplifications, and not everyone in the industry pays close enough attention to the details of those assumptions. On the ot…

Thinking the “Depression”

The Bank of Japan is set to boost funding support for companies, but it will avoid cutting interest rates, as it could encourage people to step out of their homes to splurge and undermine government efforts to curb the coronavirus outbreak…

京都の志村

数学者ジョン・コンウェイがCOVID-19の発症後、間もなくして肺炎で亡くなったという報がプリンストン大学から流された。コンウェイの専攻は数論であるが、学生の頃にウィリアム・パウンドストーン『ライフゲイムの宇宙』を読んでその名を知り、計算機科学の…

亡国への道

春の陽気に恵まれたイースター・サンデーを迎えたニューヨーク。ここ数日横ばい状態だった新たな死者数が再び増加して1日あたり約800人の死者が出ており、今にも1万人に達する勢いである。例年だと、マンハッタン区5番街ではセント・パトリック大聖堂前が歩…

COVID-19とパチンコ

全米で感染者数が20万人を超えてしまったCOVID-19だが、中でもニューヨーク州の感染者が8万人以上と偏りを見せている。しばらくすると、さらに被害は拡大していくだろう。ワシントン州で武漢から入国した者の感染者が発見されたのが1月下旬だったかと記憶し…

ゴーストタウン

いよいよニューヨークまでもが、先に外出禁止令を出していた隣のニュージャージー州と同様、COVID-19対策の一環として、今日から不要不急の外出を禁止する法令が施行され、おそらく一種のゴーストタウンのような状況となることが予想されている。もともとレ…

Winter in NewYork

Autumn in NewYorkならぬWinter in NewYork。再びニューヨークに配転となってから一月余り。2年ぶりに移り住んで驚いたことは、家賃の更なる高騰ぶりである。高級なレジデンスなどは一部供給過剰気味で、専ら投資用として購入した買い手が多いものだから人が…

関西への「亡命」

令和元年、皇紀2679年の10月22日、新帝践祚を改めて内外に宣明する即位礼正殿の儀が東京の皇居正殿において執り行われ、来月には、御即位に関連する行事の中でも最も重要な儀式である大嘗祭が、皇居内に設営された大嘗宮にて挙行される予定になっている。即…

靖國神社秋季例大祭をお迎えして

思ひみる人の はるけさ海の波 高くあがりてたゝなはる山も そゝれり。かそけくもなりにしかなや。海山のはたてに 浄く天つ虹 橋立ちわたる。現し世の数の苦しみたゝかひにますものあらめや。あはれ其も 夢と過ぎつゝかそけくも なりにしかなや。今し 君安ら…

選挙制度の抜本的改正に向けて

今年7月に行われた参議院議員選挙における所謂「1票の格差」が最大3倍であったことに関して、この選挙が投票価値の平等に反し違憲だとして四国の有権者が選挙無効を求めた訴訟の判決で、一審にあたる高松高裁は「違憲状態」との判断を示した。かつて最高裁大…

君側の奸

狩野直喜『御進講録』(みすず書房)所収の「尚書尭典首節講義」は、当時京都帝国大学教授であった狩野直喜が、「御講書始の儀」において昭和天皇の御前で行った御進講録の一部である。聖上からの御下問の内容までは収録されていないが、聞くところ、英明であ…

暴排条例の廃止を

警察による六代目山口組壊滅作戦の一環なのだろうか、警察当局は暴力団排除条例をちらつかせることによって、六代目山口組総本部がある神戸市灘区篠原本町の住民に対して、ハロウィンでの恒例となっている山口組からの子供たちへのお菓子のプレゼントを受け…

成功体験は後の失敗の温床となる

北朝鮮が今月2日に同国東海岸付近から発射した弾道ミサイルは、報道によると、どうやら潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)のようで、飛行距離は約450kmだったという。軌道を変えて飛行距離を抑えた上でのこの距離なので、実際は日本全域を射程に収めているとみ…